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アースなあの人:日本マリネラ協会 高林麻子さん

2018/07/11(水)
昨年のアースキャラバン東京のメインステージで華やかなペルーの民族舞踊・マリネラを披露して下さった日本マリネラ協会さん。副理事長の高林麻子さんにお話を伺った。(↓写真最前列中央が高林さん)
◎ペルーの民族舞踊マリネラに魅せられて
高林さんはもともとダンスが好きでいろんなダンスを習って来たが、ふとした偶然からペルーのマリネラに出会い習うことになった。やがて趣味が高じて日本での第一人者になっただけでなく、今では教室を開くほか、日本でマリネラの大会を主催している。参加者は本場ペルーから呼ぶ有名ダンサー、日系三世、四世のペルー人の若者、出稼ぎ労働者として日本に滞在しているペルー人の子どもたちなど。現在は持病を抱えているために自身が踊ることはほとんどない高林さんだが、大会運営の傍ら在日ペルー人の支援活動も行なっている。
 
◎ペルー人への支援
高林さんの行なっている支援活動というのは、在日ペルー人の子どもたちに彼らの母国語であるスペイン語を教えること。スペイン語の堪能な日本人を斡旋してボランティアで教えてもらうのだという。
 
日本で暮らす出稼ぎペルー人たちの多くはスペイン語しか話せない。それでも仕事にありつけるのは、日本語を話せるペルー人がブローカーとなって工場や建築現場などの単純労働を斡旋するからだ。在日ペルー人は職場に近い集合住宅などに住み、ペルー人だけのコミュニティーを形成している。だから日本語が話せなくても仕事がある限りは就労ビザで滞在しつつ、それなりの暮らしを続けていくことができる。
◎在日ペルー人の置かれた現状
子どもたちは日本の公立学校に通うが大学の学費を払えるような親は稀だ。小学校に上がるまでスペイン語を使っている子どもたちは、入学時点で日本語が全く話せない。当然勉強についていくのは大変だし、進学率は低い。すると、学歴やこれといった技能、特技がないために親がしているのと同じような単純労働につき、同じような暮らしを引き継いで日本社会の片隅でひっそりと暮らしていくことになる。あるいは悪の道に染まることも…。
 
◎高林さんの願い
遠い異国の地で現地に溶け込めもせず、自分たちのアイデンティティも希薄な彼らの暮らしを知って、せっかく日本に来て暮らしているのだから、なんとかして「日本に来てよかった」とか「日本で暮らしていて幸せだ」と感じてほしいと思うようになったという高林さん。彼らにもっと日本人とコミュニケーションをもってほしいし、日本の社会で向学心を持って自分たちの人生を前向きに生きてほしいのだという。そのため、少しでも良い刺激になれば、とスペイン語教師にはなるべく日本人大学生を選ぶようにしている。
 
高林さんには夢がある。それは例えば、スペイン語を習ったペルー人が奨学金制度などを利用して大学に進学したり、仕事上の武器になるレベルでスペイン語を操れるようになること。つまり、自尊心を持って彼ら独自の文化を大切にしつつ、生き甲斐と希望を持って日本で生きていけるようになることだ。それが縁あって彼らの置かれたいびつな境遇を知ってしまった高林さんにとっての責任の取り方なのかもしれない。
是非、今年のアースキャラバン東京メインステージでマリネラをご覧になった方はペルー人ダンサーたちにお声掛けをよろしくお願い致します。イベントを通じて日本人との間に交流が生まれれば幸いです。
  
※在日ペルー人は2016年6月時点で約48,000人(入管による)
※南米三大ダンスの一つ、マリネラについてもっと詳しく知りたい方、マリネラを体験してみたい方はこちらのリンクからどうぞ。ワンコイン体験レッスンもあります。
◎日本マリネラ協会 http://marinerajapon.blog.fc2.com/
 
◎在日ペルー人と日本人がスペイン語で交流するためのプログラム(ESPA)
 
◎高林麻子さん…ペルーの国民的なダンス、マリネラと出会い、感動し、日本でマリネラの普及啓発活動を行なっている。NPO法人日本マリネラ協会副理事長、アカデミア・マリネラ“バイラペルー”校長。ペルーのクラブ・リベルタ・トルヒーヨのマリネラコンクールを東京で主催している。

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