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カウンセラー北村光二さん「フードバンクは企業よりも個人の気持ちで」

2017/11/10(金)
アースキャラバンのイベントに全く参加していない方にお話を伺うコーナーです。今回は、カウンセラーの北村光二さんです。フードバンクに食品を寄付しようとして最寄りのステーションを探したら北村さんの活動がネットで記事になっていました。早速、食品を持ってがてらお話を伺いました。
 
北村光二さん:北村
菱倉(月刊アースキャラバン編集部):菱倉
 
[北村さん略歴]
1964年 北海道にて出生。
父親は問題飲酒者で小学校教師。母親は共依存。
1982年 大学(淑徳大学社会福祉学部)のため上京。
卒業後、結婚するが2年後相手が自死。心の病を抱えての死だった。
1995年 カウンセリング事務所開業。
2002年 外郭団体『安見会(やすみかい)』を立ち上げDV被害女性のシェルターなどを展開する。
2015年 自死問題対策検討委員会を安見会の中に組織。経済的な理由から自死を選ばざるを得ない状態の人の相談や食品支援などをおこなう。
 
◎依存症や暴力のある家庭で育った
  
菱倉:そもそも、どうしてこういう活動を始めたんですか?
 
北村:もともと家族問題を扱うカウンセリングを始めたんですね。その前は精神科に勤務していて、うちの家族が要は機能不全家族だったものですから。
 
菱倉:親御さんが?
 
北村:そうですね。親との関係で、依存症とか暴力とかがからむ家庭だったので家族をなんとかしたいなという気持ちで、当初は家族問題のカウンセラーということでスタートしたんです。
そうしてやっているうちにDVの問題とか依存症の問題により踏み込んで関わるようになっていきました。「相談室に座ってクライアントさんを待っていて、ただフムフムと話を聞いているだけでいくらもらって、「はい、次回は…」というスタイルは嫌だなと思うようになりました。それでちょこちょこいろんなことをやるようになりました。貧困から自死に向かうケースをたくさん見てきたんです。
 
菱倉:実際に関わられた人で自死する方がいた、ということですか?
 
北村:そうです。これはなんとかせにゃあかんということよりも、何ができるだろうかと、ただ待っているだけではなくて。いろいろ試行錯誤していく中でまずフードバンクという形をとって、食べ物を提供することでつながる関係もあるんです。つい二、三日前ですけど、西東京市の方から、うちの管轄じゃないんですけど(北村さんの拠点は神奈川県横須賀市)、鬱の夫婦の方から電話があって、「生活保護でやっているけど、やっぱり医療費がばかにならなくて大変なので、少しでも食べ物を寄付してくれないか」と依頼があって。
 
菱倉:西東京から依頼がくるんですか?
 
北村:ええ。食品があったので送ったんですけど。
 
菱倉:北村さんがやっているフードバンク的なことはそういうニーズのある人がネットで調べるとしたら、ふつうは全国組織みたいなやつがありますよね?
 
北村:ええ。
 
菱倉:そういうところにここが掲載されていたりするんですか?
 
北村:たとえば有名なところだと「全国フードバンク推進協議会※」というのがあるので、それに加盟していれば載りますよね。
  
 
※フードバンク(wikipedia)日本の主な活動団体の名称が掲載されている
 
菱倉:どこどこ支部みたいな形で?
 
北村:はい。ただ、うちは加盟してないので。神奈川では川崎のフードバンクが先駆けで有名なんですけど、そこに最初ちょっと関わったんですけど、微妙にすれちがいがあって、お互いの考え方とか、援助の仕方とかね。
 
菱倉:一律でこういうやり方でやってくれと言われるんですか?
 
北村:むこうがそういう風に言って来たので、うちはそれはできませんと。
 
菱倉:なるほど。
 
北村:当初は他にも何人か協力者がいて車で配達もやってたんですけど、子ども食堂の運営でトラブルもあって一度やめようと思ったんです。けど、利用者さんからやめてほしくないというお声を頂きましたのでフードバンク横須賀という看板は一度下ろしてるんですが、活動としては続けています。
 
名刺にもありますように社会的弱者のための複合支援施設ということで、困っている人たち、苦しんでる人たちのために何か送ろうと。自死問題対策検討委員会というのを設置しているので、「食べ物に困って自死するぐらいならば電話くれればすぐ送るから」とそういうスタンスでやっていて、今は配達はしてないです。基本的には取りにきて頂く。ただこんな不便なところなので、来て下さいというのもあれなんですけど、来て下さった方には多少なりとも時間を提供して30分でも1時間でもお話は聞きますね。
 
菱倉:利用者さんはだいたい横須賀市内の方?
 
北村:今、横須賀市内が多いですね。
 
菱倉:フードバンク的なことをやっているところは市内で他にもあるんですか?
 
北村:えーと、やると言ってた連中はいるんですけど、それが今機能しているかはわからないですね。
 
菱倉:もうちょっとあっても良さそうですけどね。どこかのお店なりで集めて取りに来て下さいという場所を作ること自体はそんなにハードルが高くもないですよね。
 
北村:高くはないんですけど、集めて、管理して、消費期限内で配達するとかはそんなに大変じゃないですけど、深くやろうとすると、けっこう大変だし、品物がコンスタントに集まるわけでもないし。うちにも利用者さんから「あれがほしいこれがほしい」がリクエストがけっこうあります。
 
菱倉:ピンポイントでね。それも困っちゃいますね。
 
北村:米がほしいとかね。
 
菱倉:けっこう持ち出しでご自分で送ったりもするんですか?
 
北村:持ち出しはありますね。現金の寄付があればそれで購入して渡すこともできますけど、なかなかないので。私が個人で会に寄付して会が買うという形をとることがあります。
◎食べられなくて自死に至る人もいる
   
菱倉:少し話戻りますね。食べられなくて自死に至るという話なんですけど、それは生活保護を受けてるんですか?
 
北村:もらってたり、もらってなかったり。もらってても足りない。今日来る方については、若干知的障害があるんです。女性の独居なんですけど、なんか聞いてるとお金の使い方が若干…ね。ただ自立してるし、こちらも必要以上に踏み込むわけにもいかないので。息子さんが別居してて横浜にいるんですけど。ちょっとそういうわけで保護費だけではなかなか。あんまりひどいと手も打たないといけないんですけど、その方は様子見です。また、市内の方で多重人格の人もいますね。基本人格の時はいいんですけど、副人格の時はちょっと大変だったりして。
 
菱倉:それは接しててわかるんですか?
 
北村:接してる時は出て来たことないんですけど、SNSのメッセージでは明らかに違う人格になってるし、副人格の時には自傷がすごく強いんですよ。顔とか体とか刻むので医療費が絶えずかかってきて馬鹿にならない。外傷の治療にはもちろん医療保険とかでるんですけど、自傷についてはそこまで役所として配慮してくれないので、お金は足りなくなる。多重の方はどこかで満足感を与えないといけないので、なかなか難しいんです。
 
菱倉:大変なお仕事ですね。
 
北村:ただただ与えればいいというわけじゃないので、時には厳しい言い方をすることもあります。「うちは自立支援でやってるんだからね」って。
 
菱倉:依存関係になりがちですもんね。
 
北村:それは困りますから。
 
菱倉:よくありますよね。何につけ、支援活動をする時に。
 
北村:援助者と非援助者の関係で共依存関係※に陥りやすい。
 
※共依存…自分と特定の相手が二人の関係性に過剰に依存し、囚われている状態のこと。
 
菱倉:逆に駄目になってしまうという。
 
北村:「ここにくれば食糧くれるから、目の前のお金はギャンブルに使っていい」と思われてしまうとか。たまにそういう方がいらっしゃるんで。そういう方はお断りします。
 
菱倉:フードバンクだとそういうことは?
 
北村:フードバンクの人で心理学をやっている人はあまり多くないので、そこまでは無理ですね。そういう面もあるので、うちはフードバンクとしてはやってないんです。事業の説明するのにフードバンクという言葉を使うことはありますけど。そう言った方がわかりやすいので。
 
菱倉:なるほど。そのへんが微妙ですよね。こうして集めて持って来てもやっぱり実になる使い方をして欲しいですもんね。
 
北村:ええ。人によっては貪るように持って行く人がいたので、それはやめてくれと。だいたい事前にお話して、どういう状態なのかはだいたいわかってますんで。
 
菱倉:経済的な事情ですか?
 
北村:経済的にも精神的にも。なので、「あなたは何点まで持って行っていいですよ。」と。
 
菱倉:なるほど、その役割が重要ですね。支援者次第で全然その人のためにならなかったりするんですもんね。
 
北村:そうです。かえってよくない効果を与えてしまうことがあるので。やっぱりフードバンクは簡単にはできないと思います。やりたがる人は多いけど、やれる人間はそうそういない。一時期フードバンンク横須賀を名乗っていた時にかかわりたいと言って来た人が何人かいて独立するっていってますけど、申し訳ないけど、彼らのレベルでは与えるだけで終わっちゃいますね。ノーと言えないので、かならずしもいい結果にはつながりにくいと思います。
 
◎優しさだけの支援では害になることも
  
菱倉:ただ優しさだけではできないというか。
 
北村:そうですね。優しさだけでは害になりうる。
 
菱倉:厳しさとその案配を見極めるセンスというか。やっぱり経験が必要でしょうね。
 
北村:ぼくも他のフードバンクに参加した経験があるわけじゃないですけど。基本的には依頼があった人には差し上げてます。ただ、一度きりなのか継続するのか、どれぐらいの量にするのかというさじ加減はさせて頂いてます。困ってるという人からの依頼は基本的には断りません。さっきの西東京の夫婦は電話で30分ぐらい話して「この人たちなら」とある程度送りましたけど、送料がばかにならない。米5キロにレトルトパック10個とか入れて。カップラーメンも10個とかいれて。
 
菱倉:東京は東京でフードバンク的なところがあるでしょうにね。
 
北村:ありますよ。セカンドハーベスト※っていう外資の入ってるところに申し込んだら、「送料がかかる」と言われたらしいです。
 
 

おなかがすいた日本人の胃袋を支える 元ホームレスの「アメリカ人」
(セカンドハーベスト・ジャパン創設者CEO
チャールズ・E・マクジルトンの記事

菱倉:セカンドハーベストってけっこう大きいところですよね。横須賀の大きいスーパーで消費期限の近くなった食品とか廃棄するものを回して有効利用してますって掲示してましたね。
 
北村:他の大手スーパーでもレジ横でセカンドハーベストかどこかに一円でも二円でも寄付してくれませんか?というカードが置いてあるのを見た事あるんですけど。かなりの事業ですよね。
 
菱倉:ああいう大手量販店系のスーパーがそういう取り組みに協力してるというのをこないだ初めて知って、驚きました。
 
北村:生協なんかもそういうことする精神はありますし、他からも「非常食の備蓄でビスケットと水があるんだけど受け取ってもらえないか?」と打診もありました。
 
菱倉:回転させるということですか?
 
北村:ええ、そうです。期限が迫ると早めに入れ替えるでしょ。ビスケット60箱とか。結局横須賀市に引き取ってもらったんですけど。
 
菱倉:そういうのは、食べ物に困った人がいて、社会福祉協議会とか民生委員なんかからフードバンクが紹介されたりするんですか?
 
北村:民生委員が知っていれば。
 
菱倉:つまり、求めている人と提供する側のマッチングがスムースにいくような仕組みにはなってないんですか?
 
北村:なってないですね。
 
菱倉:自分で探さないと?
 
北村:それか、たまたま関わる人で知ってる人がいれば。横須賀でもそれなりに認知されてきましたけどね。
 
菱倉:こちらが、ですか?
 
北村:うちがそういう活動するって騒いだもので、まず、そういう取り組みが世の中にはあるんだよっていうことを知ってもらって、そして横須賀ではここがそういうことをしているよっていうことですね。ほんとに一番最初の啓発期をやったんで。ちょっと市会議員なんかもからんでやりましたけど。「おれがやろうと思ってたのに、なんでお前が先にやってるんだ!」みたいな妨害みたいなのもありましたけど。
 
菱倉:なんだそりゃ(笑)。
 
北村:ふざけんなよ、だったらさっさとやれよって。そもそもお前の仕事だろ!って。
 
菱倉:それは議員さんですか?
 
北村:議員の取り巻きみたいな人。
 
菱倉:売名行為的に使おうとしてるんですかね?
 
北村:横須賀市って貧困世帯が結構多いので、子ども食堂とかそういうのに関わってるって言えば、そういう地域の課題に積極的に取り組んでるんだぞって、ポーズですよね。
 
菱倉:まあ、アピールしやすいですもんね。
 
北村:片○さ□きが埼玉の子ども食堂を見学に行ったようなもんです。
 
菱倉:そんなことがあったんですか?
 
北村:お前が子ども食堂行ってんじゃないって。一番の天敵みたいな奴なのに。
 
菱倉:そうなんですか?
 
北村:彼女は生活保護の人をバッシングするような人ですからね。
 
菱倉:不正受給してる人がいると?
 
北村:頑張って仕事を探さないからそういうふうになるんだって。
 
菱倉:自己責任だと。
 
北村:そうです。自己責任の先鋒みたいな奴がなにをやってるんだって。うちに来たら絶対断ってた。
 
菱倉:(笑)
 
北村:優しい人がやってる子ども食堂に行ったのかもしれない。そういう発言を知ってる人なら絶対拒否するから。
  
○大企業の商品入れ替えとかでなく、一人一人の気持ちで寄付を
  
菱倉:そうですか。ところで、定期的に食品を提供してくれる人ってけっこういるんですか?
 
北村:新聞に出たり、ラジオに出たりすると、その後は反響があるんですけど継続が難しい。もうちょっとパイプを少しずつでも太くしないとあれだなと。あと自分自身のこだわりを言えば、大企業よりも個人から頂きたいんです。売名行為とか食品の入れ替えついでではなく、一人一人の気持ちでやって頂きたいんですよ。昔の向こう三軒両隣じゃないですけど、お互いに支え合うというか、お裾分けというか、そういう文化が必要だと思うんですよ。隣から鳴き声聞こえたら提供しましょうよって。それができないならうちみたいな第三者からあげるから。だから本当はみんなそれぞれの隣近所でそういう関係があれば理想ですけど、なかなか付き合い自体がないし、時間の関係もあるからうちみたいなキーステーションが一個二個でもあればもう少しよくなるから。
 
菱倉:日本で貧困がキーワードみたいにもなってますよね。6人の子に1人が年収200万以下の貧困世帯とか。だけど、途上国の貧困と比べると、社会全体としては全然豊かな方ですけど、すぐ将来を悲観して死んでしまう。一方で、逆に日本よりはるかに貧しい途上国で、親戚や村の仲間が面倒みてくれるもんでお互いに助け合ってそれなりに安心して暮らせたりということもある。みんなが貧しくて助け合わないと誰も生きていけないというのもあるんでしょうけど。その先ほども出た「自己責任」という言葉ですけど、こういう言葉が蔓延する社会って人としてけっこう恥ずかしい状態だと思うんですけど。明日は我が身じゃないですか。いつ自分が社会的弱者になるかわからないのに、「自分のことは自分で責任持て」と人に言うからには、「自分が困った時も人を頼れない」し、逆に「自分のことさえやっておけばそれでいい」ということ。こんな殺伐とした世の中で「明日はどうなるだろう?」という不安を潜在的に抱えていたら、どんどん溜め込む一方でしょう。そういう空気のせいで社会全体が暮らしにくい状態になってる。なんなんでしょうか、この精神的な貧しさは。
 
北村:ほんとにね。
 
菱倉:ますますこれから日本は格差が開いていって、それこそアメリカじゃないですけど、医療保険制度が破綻して盲腸の手術で何百万みたいになってくるかもしれない。こういうお互いに助け合うような取り組みが広がって行かないと…。政府はあまり期待できないから。
 
北村:政府はやらないですね。だからやめるわけにいかないなって。続けることが成功とも思わないですけど…。
 
菱倉:思ってないんですか?
 
北村:思ってないです。
 
菱倉:成功っていうのもわからないですけどね。
 
北村:実際お金が潤ってないですから。実績としては何十人かの人たちにとても感謝されながら食品提供ができているので、人の感謝を喰って生きて行くしかないのかなと。また、こうして個人レベルでもやっていることで、他の人も「じゃあ私もやる」という影響があればいいなと思ってます。
 
菱倉:それはすごくありますよね。ぼくも今回ネットでこちらを見つけた時に、「あ、個人でやってる人がいるんだ」と思ってすごく希望を感じましたし、じゃあ自分で持って行こうかと思って、ついでだから周りの人に声かけたらやっぱり集まりますからね。でもこれほっといたら「同じ果物いっぱいもらってそんなに食べきれないなー」でそのまま傷んだり、十分足りてる家にお裾分けとかそんな結末ですから。ただ一声かけたり、車で二、三十分かけてもってくるとか、些細なことじゃないですか。それで人のために活かせたらいいですよね。母親にも言ったんですけど、新聞お金出してとってて、テレビが垂れ流しの家でさんざん「貧困家庭が…」とか「子どもの貧困が…」っていう情報を浴びてるのに、なのにちょっと調べたりしないんですね。ま、自分でもそうだったんですけどね。
○恥の感覚の強い日本では貧困が一層見えにくい
  
北村:日本の場合、やはり貧困は見えにくい。世界的に見れば、ユニセフなんかはテレビでCMやってて、生存バンドみたいなもの、この子はやせ過ぎだからやがて栄養失調で亡くなるとか、そういう意味のバンドがついてる子が映って、「飢餓で苦しんでる子に寄付を」みたいなメッセージが出る。でもそんなに遠くにいかなくても実は近くにものすごくとんでもない世界があるっていうね。もちろん途上国の人たちを助けることはとても大事なことだけど、むこうに100円あげるときに国内にも10円ちょうだいみたいな。そうすれば、身近なところでも助かるし。頂く方としてそういうことを言うのもあれですけど。なんで人のためにこんなことやってるのかわからないですけど。
 
菱倉:こないだ、子ども食堂に関わってた時にそこに質屋さんがいたんですよ。ほら、質屋さんってお金に困った家庭に呼ばれることがあるでしょう。家財道具の査定に行たらすごいガリガリに痩せた子どもがいて、みたいなことがあるんですって。要するに隠れた貧困に出くわすことが多い職業なんですよね。昔から最後のセーフティネットみたいな感じで警察とか役所に通報するような役割を担ってたりして。「あんまりそういうことが多いので自分でも何かできないかと思って子ども食堂立ち上げの場に来た」と仰ってました。位牌を渡されて「これを担保に千円貸してくれ、お金が全くないから」って頼まれて、本来担保にならないんですけど、そういう場合は貸してるって言ってました。
見えないから自分達のためにお金使ってるけど、多分、その実態を目の当たりにしたら、今アクションを起こしてない人の中にだって「食品なんか持って行ってよ」っていう人はたくさんいるはずですよ。だって子ども食堂がこんなに広がってるんだから(全国に400カ所)、「困ってる人たちのために何かしたい」っていう人は多いはず。だからこういうところがあって、マスコミに取り上げられたり、ネットに載ったりして多くの人に知られるってすごくいい影響があると思います。
 
北村:うちもセーフティネットを強めていきたいんですけどね。まずはシングルマザーの支援を始めて。今年から強化してシングルマザーズカフェという形でやってます。カフェ形式で10円でも100円でもいくらか払ってもらって、うちに寄付されたお菓子やなんかで飲み食いして。完全に無料だと抵抗ある人もいるので、できるだけご本人のプライドを傷つけないように。子ども食堂の一番ひっかかるところは、相手のプライドを考えないんですね。お金がなくて困ってる人が来るところだからどんどんおいでって、それはないですよね。日本でなんで貧困が見えないかって言ったら、みんな隠してるから。自分の子どもに「うちは貧しい家庭なんだ」と思われるのが嫌だから、奮発してきれいな服きせたり、無理してスマホ与えたり、だけど、見た目だけで判断されて「あそこはそんなに困ってないはず」とか「あれは貧困じゃないはずだ」とか言われて。そういうふうに実際のところがわかりにくいので、「どっちでもいいけど、食べ物に困ってるなら来て下さい。」と。
 
菱倉:子ども食堂でも「みんなでごはんをつくってたべよう」というスタンスで間口を広げてるところはありますよね。
 
北村:それはありますね。
 
菱倉:ホームレスの人に毛布を上げた人が、相手がものを貰う時につらそうな顔をするっていうのを聞いたことがあります。支援の難しさというか、プライドとか恥とか。人からタダでなにかされるって助かる反面、そういう辛さもありますよね。
 
北村:ホームレス支援を専門でやってる人のところに届ける方がいいですよね。私はビッグイシューを購入する支援をやってますけど。これを売ってる人三人ぐらい知ってますので順番に買わせてもらってます。
 
菱倉:これ最近ネットニュースかなんかで読みましたけど、ビジネスとしては雑誌離れとかも影響して赤字で大変だって書いてありましたよ。
 
北村:日本でこの事業を始めた佐野さんという方に聞いたんですけど、当初は無謀だと言われて三ヶ月で廃刊になると言われたのが、今ではもう14周年、月二回だして。
 
菱倉:月刊じゃないんですね。
 
北村:ええ。私が初めて買った時は200円だったんですけど、今は350円するんです。値上げ値上げでやってるけどまだ売れてますね。彼らに聞いてみたら、もちろん助かってるし、それでホームレス抜けたって人も何人も知ってます。
 
菱倉:今、ホームレスの人のお金稼ぎって何がありますかね?
 
北村:空き缶集め。
 
菱倉:まだできてるんですか?
 
北村:どういう意味ですか?
 
菱倉:ほら、住宅地だと「ゴミ収集所から持って行かないで」とか言われるし。やりにくくなってるのかなと思っていたので。
 
北村:いや、やりにくいというかお金にならない。かつて10円/キロだったのが、今は2円/キロとか。
 
菱倉:すごい山のように積んで運んでる人をたまに見ますもんね。自転車とか、台車みたいなので。
 
北村:そのぐらいお金にならなくなってる。マンガ雑誌を売るのが一番いい。
 
菱倉:駅で?
 
北村:駅の横とかで。あれ一冊100円というのはなかなかいい収入だなと思うんですけど。
 
菱倉:ゴミ箱から?
 
北村:ゴミ箱とか網棚とかから。
 
菱倉:そっちの方が率が良さそうですね。
 
北村:うーん、あれば。もらえればね。月曜、水曜は彼らの稼ぎ時。月のジャンプ、水曜日のマガジン、サンデー。そのために山手線を何週もしてますけど。
 
菱倉:きっぷ買って?
 
北村:いや、入場券で。
 
菱倉:入場券でね。(寄付された食品が置かれた棚を見て)あ、オムツもあるんですね。
 
北村:寄付してくれたのは障害児のお母さんなんですけど、「たくさんもらったから持って行って」みたいな。「場合によっては現金化しますよ」って言ってあるんですけど。
 
菱倉:どうやってですか?
 
北村:バザーとか、フリマとか。これ一袋で千円ぐらいしますから。それを五百円とかで売れますから。
 
菱倉:洋服とかってニーズはありますか?知り合いで洋服売ってる人がいるんですけど、売れ残りを安くセールしてそれでも売れ残ったやつがけっこうあるんですね。それをチャリティーイベントとかで売ってもいいんですけど、あんまりお金にならないんですよね。だからそのまま着てくれたらそれが一番無駄がないのかなと。
 
北村:場所とりますからね。今度拠点を変えるので新しいところに移ったらやろうかな。扱う物はどんどん増やして行きたいと思ってます。
 
菱倉:今後も微力ながら寄付させて頂きたいと思います。今日はありがとうございました。
 
北村:こちらこそよろしくお願いします。ありがとうございました。

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